最近ハマってるトリックの話その2。
はねけんファストハンド(以下ファストと略す)1-2-3の話をしようと思う。
またはねけん?
そんなにはねけん好きなん?
はねけんなんてそもそも2回転以上からもう見えてないのに何故それのファストの1-2-3なんて苦行に手を染めてしまったのか…
きっかけはタイ在住、たまにOurpark*1にも顔を見せるaom_skt(スクリットくん)のあまりにもクリーンなはねけんファスト1-2-3を観たこと。
なんでこんな完璧なタイミングで持ち替えられるのか全然わからなくて考え続けている内にいつの間にか魅入られてしまっていたのだ。
上から下に持ち替える天中ファストやすくいけんファストと違って、
下から上に持ち替える飛行機ファスト系(当然はねけんもここに含まれる)はKWC公式トリックには不採用であることが明記されている。
理由は簡単。
できた/できてないのジャッジが極めて難しいから。
・ジャッジ、判定のしやすさも考慮にいれます
例:すくいけんファストハンド(かぶせけん)系⇒採用可
飛行機ファストハンド系⇒不採用(ジャッジ困難なため)
上から下への持ち替えの成功は簡単にわかる。
玉やけんが落ちる前に持ち替えてキャッチできればイコール成功だからだ。一目瞭然だ。
失敗は持ち替えが遅くて玉かけんを落とすか、
手を離すのが早過ぎたり、離す位置が悪かったりで穴に刺せないか、だ。
下から上への持ち替えのジャッジは違う。
刺さらなかった場合は当然見ればわかるのだが、
はねけんファストの一番の問題点は刺さった後に持ち替えている場合が多々あること。
持ち替えたのが刺さる前なのか刺さった後だったのかジャッジするのは目の前で見ていても相当難しい。
HUNTER×HUNTERのゴンぐらいの動体視力*2が必要なんじゃない?
KENゲームでも通常禁じ手だろう。
SWEETS KENDAMASのyoutubeでファストのHOW TOを観ると、けん先が玉穴の入口あたりに当たる微かな音に反応して素速く持ち替えろ、みたいなことを言っている。
この動画の例は飛行機ファストだけど、動きの基本ははねけんの場合も一緒。
すなわちけん先がわずかに当たった時とけん先をしっかり差し込んで皿胴と玉が当たった時の2回音が鳴る、ということでもある。
そして2回音が鳴るのはけん先が玉穴に当たった時だけではない。
けん先が真っ直ぐ入って皿胴と玉が当たった時、すぐに玉から手を離し、皿胴が衝撃で玉からほんの少しだけ離れた後にけんを持ってもう一度差し込んだ時にも2回音が鳴る。
この場合、すでに刺さった後に持ち替えているので当然ジャッジとしてはアウトだ。
ただし、皿胴が当たる直前に玉から手を離していたら…?
刺さる前に玉を離してはいるが、
刺さってからけんをつかんでいる
というややこしい状態になる。
この場合も同様に皿胴が玉に当たった瞬間若干跳ね返って離れるので2回音が鳴る。
ジャッジとしてはこちらはセーフだろう。
でないと通常の上から下へのファストのジャッジも難しくなるから。
天中ファストが刺さった後に玉をキャッチしてるからアウト!
なんてことにならないのと同じ。キャッチしてから刺さる方がよりクリーンだとは思うけど。
はねけんファストの話に戻そう。
刺さった後すぐにけんをキャッチすると一度しか音が鳴らない事もある為、
皿胴が当たる前に玉から手を離していても逆に遅く感じてしまうこともある。
この成功しても失敗しても2回鳴ったり1回鳴ったりする音の聞き分けは本当に難しいと思う。
特に最初の音が「けんと玉穴が微かに当たった音」なのか「皿胴と玉が当たった音」なのかの聞き分けは相当難しいだろう。
そして玉を離したのが皿胴に当たる前なのか後なのかを肉眼で捉えるには超人的な動体視力が必要だろう。
肉眼と肉耳(そんな言い方はない)でもわかるレベルで遅い場合、「ただのイキった持ち替え」になるだけなので自覚があるととても恥ずかしい。
そんなわけで決して表舞台で陽の目を見ない影のスキルであるからこそ、はねけんファストには独特の魅力がある。
修羅の門で言うとこの(言わんでいい)訃霞(ふがすみ)とか雹(ひょう)的な。
陸奥よりは不破的な。*3
そんな修羅の業*4、はねけんファストをどうやって身に付けるのか?
けん先を最後まで目で追える飛行機ファストならまだしも、僕の老眼ではねけんファストとなると、正直1回転でもタイミング合わせてほぼ勘のみでやるしかない。
先ほどのSWEETS KENDAMASの動画だと、けん先を軽く玉穴に当てる為にわざとけんが斜めの角度の時に刺そうとしている。
たぶんコレがコツの一つなんだろうけど、はねけんで意図的にやるとなると、無理ゲーが過ぎる。
スクリットくんのはねけんファストは個人的に最も綺麗だと思って見本にしているが、ほとんどけん先斜めにはなっていない。
玉と皿胴が当たる寸前に手を離して一瞬で持ち替えているように見える。
やはりこのやり方が最も正解に近い気がする。
持ち替える位置がほぼ一定なのではねけんの精度がそもそも高いのは間違いない。
他にも一応練習しながら発見したり教えてもらったりしたコツと言うかポイントはまだ他にもある。
①はねけんの射出角度と軌道を安定させる
前後左右にブラさなければ見えなくても慣れで大体同じ場所で刺せる。
当たり前過ぎてコツでも何でもないけど。
②刺さる瞬間に膝を使う
瞬間的に体を沈ませることでけんと手の相対速度を落とすのが目的だが、そのタイミングのシビアさと体の使い方の難しさはエグい。
③けんが落下する前に頂点で刺す
けんが落ち始めると加速がついて持ち替えが追いつかない。
素速く持ち替えるにはできるだけ頂点に近い位置で一瞬の無重力状態を利用する必要がある。
とは言え、落下する前に3回転以上させようとするとめちゃくちゃな回転スピードが必要になる。
でもそんなに速く回したら今度は見えないし手を離すタイミングが鬼シビアになる…
回転やや速め、持ち替え鬼速め
回転鬼速め、持ち替えやや速め
のどちらにしますか?ってなもんでどっちも鬼でしかない。
そもそもそんなに速く回すには相当高度なテクニックが要る。思いっきりテコ利かせて跳ね上げた直後に玉を止めるだけでなく前に押し出すような動きも必要になってくる。
あ、これもしかして三つめのはねけん?*5
要するに1、2、3と違う回転数のはねけんの最後に刺さる瞬間を毎回ちょうど頂点に持ってきて刺しつつ持ち替えるのは単なる神技でしかない。
「テコの強さ」で回転の強さとけんを刺す高さをコントロールする、って言葉にするとシンプルだけどこんな難しいことはない。
お好みの鬼をお選びくださいませ…
そんなふうにやり方はある程度言語化できても実行できるかどうかはまた別の話。
コツを知ったところでいきなり上手くなったりはしないのがはねけんファスト…やっぱり修羅の道ではある。
現実的には、
1回転と2回転はほぼ頂点で持ち替え、
3回転は落下中に膝を目いっぱい使って持ち替え、
って感じかなぁ。最近の限りなく完璧に近いメイクがそんな感じだった。
言ってしまえば回転が見えない人にとっては単なる鬼畜なタイミング覚えゲーである…
そして動画観直して気付いたのだが、1、2、3すべて2回音が鳴っていた。
要するにけん先の進入角度が若干真っ直ぐよりブレて玉穴に擦り、そのおかげで刺さる前に持ち替える時間を稼げていたのだ。
特に3回転はこの恩恵がなければたぶん先に刺さっていたであろうタイミングだった。
というわけでアキレスと亀*6のような永遠に遠い0.1秒を乗り越えられるかどうかは、ひたすら練習による慣れと、基本中の基本、膝の使い方とちょっとばかりの運にかかっている。
運て言っちゃったよ…だっているんだもん、運。
慣れと運でなんとかなる、って救いでもあり絶望でもある。
何度もトライすれば一度はメイクできる、ってことでもあるし、
一生本当の意味で身に付けられることもない、ってことでもあるから。
それでも未知のトリックをメイクするために獣道を歩き続けることはやめられないのだけど*7。
レイトグーンとかストリングピンチとかループとか今時のオシャレトリックも慣れでなんとかなったりするといいなぁ(心の声ダダ漏れ)。