以前、「こんなけん玉マンガが読みたい」というどこの誰に向かって書いてるのかよくわからん記事を書いたのだけど、今回は明確に大人のダマーさん向けに書いてみた。
大人になってからけん玉始めた人なら思わず共感してしまうスケボーマンガをオススメしたい。
このSketchyという作品、題材はスケボーだし、主人公は女の子だけど
『大人になってからスケボー始めた人あるある』が
全部『大人になってからけん玉始めた人あるある』に置き換えて読めてしまうぐらい、大人ダマー共感度100%!だと勝手に思ってる。
31歳、彼氏は売れない脚本家、仕事はどんどん衰退していくレンタルショップ、友人の結婚式での同級生のキラキラトークに全然入れない自分…
平穏だけどぼんやりとした不安が影を落とす毎日を過ごす主人公憧子(あこ)はある日、偶然見かけたガールズスケーターに心を奪われる。
この出会いのシーン、こちらの作者インタビューの冒頭の画がそうなのでぜひ見て欲しいです。
寝っ転がった憧子視点の構図がとても印象的。
パ-カのフードを目深にかぶったガールズスケーターが大きな壁を飛び越える描写は憧子がこれから乗り越える心の壁を暗示しているのかな?
警察の目を気にしながら友人たちとフィルミング*1に精を出す姿はその時の憧子にとって完全に別世界だったはず。
ほとんどの人はそこですげーな、って言って終わる。
そこから実際にスケボーを始める、という行為は
30歳を過ぎた人間にとってはそれなりに高いハードルに感じるはずだ。
ゴミ捨て場に捨ててあったスケボーに試しに乗るのはノリと勢いでいけるかもしれない(犯罪だけどね)。
でもスケボー初心者教室に申し込む、となると大げさに言えばある種の覚悟と勇気のようなものが必要だと思うのだ。
始めるハードルで言うとけん玉より絶対高い。
とは言え大人になってから新しいことに挑戦するそのちっぽけな第一歩はなんだって尊い。
それが現実の問題を何一つ解決しないとしても
逃避だったとしてもそんなことは大したことじゃない。
スケボーのこと全然知らなくても
『将来への漠然とした不安や閉塞感』
『周囲の人間関係に対する違和感』
なんかはとても普遍的なテーマで、スケボー関係なくリーチできる年齢層の幅は広そう。
・激ウマスーパーキッズ
・初心者を排除しないオープンなコミュニティ
・大人になってから成長できることがある喜び
この世界観はもう完全にけん玉と一致!
何度か別の記事で書いたようにスケボーはけん玉の頼りになるパイセン、あるいはお兄ちゃんのような存在なので当たり前っちゃ当たり前なんだけど。
一番好きなシーンはビルの屋上にあるパーク(たぶんRAIZIN SKY GARDEN)で瞳子が必死にチックタック*2練習してできるようになるところ。
後から始めた年下のバイト仲間の方がどんどん上達していくことへの焦りと学生時代から続く人間関係の悩みで頭の中は煮詰まりつつもいつの間にか練習に没頭していく…
周りのスーパーキッズたちに
「すごいじゃーん、チックタックできてたよー」
と声をかけられた時に初めてチックタックをメイクできていたことに気付く。
その時まるで憧子を祝福するかのように花火がいくつも上がり、ビルの屋上の空いっぱいに広がる。
その光景を放心したような表情で見つめた後、満面の笑顔で
「変なの・・・・」
「私なんで」
「こんなところでスケボーしてるんだろう・・・・!」
って言ったその気持ちとのシンクロ率、大人のダマーならたぶん400%ぐらいいくね。
「変なの」って言いながらそんな自分のことが全然嫌じゃないその感じ。
わかる、わかるよ。(おじさんがアラサー女性にこういうこと言ってんのはリアルだとただのセクハラだよ?)
僕も家で深夜1時にムキになって練習してずっとできなかったトリックをファーストメイクした時、一人で割と大きめにガッツポーズしつつちょっと笑ってしまった。
「何やってんだかなー」って一人言つぶやきながら。
でも、そんな自分は意外と嫌じゃなかった。
客観的に見たらだいぶヤバいとは思うけど。
正直ある程度ヘタで苦労した人の方が共感度高いとは思う。
個人的にはけん玉始めたばかりの頃、はねけんが全然入らなくてすぐけん先ぺちゃんこになった日々をなつかしく思い出した。
ちなみにタイトルのsketchy(スケッチ―)とはトリックをメイクしたものの、不格好だったりイマイチだったりする様子を指す言葉。
転じて、「イケてない」「悪くはないけれど、さえない」といった意味も持つ言葉。
それ、僕の日常的なけん玉ライフそのものやないの。
99%の失敗と1%の成功、1%の成功のうち9割はスケッチ―…
でも楽しいからいいのだ。
大人だって仕事以外で成長することがあるんだよ。
それは誰がなんと言おうと幸福なことなのだ。
気になった方はとりあえず無料の第一話をどうぞー。↓
ま、正直ここからが面白いんだけど。
この作品のスケーターたちがちょっとけん玉やったりする展開があったら悶絶する。